EV・PHEV・ガソリン車のエネルギーコスト比較
単位の換算、充電ロス、自宅充電と公共充電の比率、PHEVの電動走行比率、同じ走行距離での比較など、燃料代と充電代を公平に比べる方法を解説します。
エネルギーコストの比較がわかりにくい理由
電気自動車は本当に維持費が安いのか、プラグインハイブリッドはどこに位置づけられるのか、そしてガソリン車やディーゼル車と比べてどうなのかを知りたいドライバーは多いでしょう。難しいのは、効率の表し方の単位が異なり、電気料金は充電する場所によって大きく変わり、PHEVは使い方によって電気と燃料を組み合わせて走ることです。こうした違いを考慮せずに数字をそのまま並べると、簡単に誤った結論に至ります。
このガイドでは、効率の単位をそろえる方法、充電ロスの扱い方、充電場所ごとに価格を加重する方法、PHEVの電動走行比率の含め方、そして比較を同じ条件で行うべき理由を説明します。電気料金や燃料価格は国、地域、時期、料金プランによって変わるため、以下の数字はすべて仮の例としてお考えください。
単位をそろえる:km/L、L/100km、mpg、kWh/100km、km/kWh
燃費は地域によって、km/L(1Lあたりの距離)、L/100km(100kmあたりの燃料使用量)、mpg(1ガロンあたりのマイル数)で表されます。km/Lとmpgは数字が大きいほど、L/100kmは小さいほど効率が良いことを意味します。km/LとL/100kmは、100をその数で割ることで相互に換算できます。たとえば12.5km/Lは100÷12.5 = 8L/100kmです。mpgには注意が必要です。米ガロンは約3.785L、英ガロンは約4.546Lなので、同じmpgの数字でも意味が異なります。
電気自動車も同様で、kWh/100km(100kmあたりのエネルギー)とkm/kWh(1kWhあたりの距離)があります。たとえば16kWh/100kmは100÷16 = 6.25km/kWhです。計算ツールでは手元にある単位のまま入力すれば内部で換算されるので、手作業で換算してミスをする心配はありません。公式の数値と実際の数値は季節や運転スタイルによって異なるため、ご自身の記録のほうがたいてい現実的です。
バッテリー基準と系統基準の電費:ロスは一度だけ計上する
EVの電費には2種類あります。メーターに表示される数値は通常、バッテリーから取り出したエネルギーを示すバッテリー基準です。一方、電気料金の請求は、充電器を通じて電力網から取り込んだエネルギーに基づく系統基準です。充電中には一部のエネルギーが熱として失われるため、電力網から取り込む量はバッテリーに蓄えられる量より少し多くなります。
バッテリー基準の数値を使う場合は、充電ロスを加えてください。充電器の記録やロス込みの数値など、すでに系統基準の数値であれば、ロスを再び加えてはいけません。二重に加えるとEVのコストが過大になります。たとえば年間12,000km、バッテリー基準で16kWh/100kmなら、バッテリーには1,920kWhが必要です。電力網からはその10%多く供給する必要があると仮定すると、請求の基準となる量は1,920 x 1.1 = 2,112kWhになります。
自宅充電、公共の普通充電、急速充電の加重
1kWhあたりに支払う金額は、充電する場所によって大きく変わります。自宅や職場での充電、公共の普通充電、急速充電は通常それぞれ価格が異なります。一つの価格を使うより、各充電方法から得るエネルギーの比率で価格を加重するほうが正確です。
たとえば、60%を自宅で1kWhあたり0.20、20%を公共の普通充電で0.30、20%を急速充電で0.35で充電すると仮定します。加重平均価格は0.6 x 0.20 + 0.2 x 0.30 + 0.2 x 0.35 = 0.12 + 0.06 + 0.07 = 1kWhあたり0.25です。これに2,112kWhを掛けると、年間の充電代は528です。公共充電の価格が月額10の会員登録を必要とする会員料金なら、年120を加えて合計648になります。会員プランは単価の安さと固定料金を引き換えにするものなので、公共充電をあまり使わない場合は元が取れないこともあります。
同じ条件で、燃費12.5km/Lのガソリン車は、燃料価格を1Lあたり1.70と仮定すると、年間12,000÷12.5 = 960Lを使い、費用は960 x 1.70 = 1,632です。繰り返しになりますが、これらの数字は計算方法を示すためのものです。
PHEVは電動走行比率が結果を左右する
プラグインハイブリッドは、蓄えた電気で一定距離を走り、その後はエンジンを使います。そのため、総走行距離のうち電気で走る割合が結果を大きく左右します。毎晩自宅で充電し通勤距離が短ければ比率は高くなり、ほとんど充電しない、あるいは主に長距離を走るなら、燃料車とほとんど変わらない使い方になります。
たとえば12,000kmのうち50%を電気で走ると仮定します。電気で走る6,000kmは系統基準18kWh/100kmで1,080kWhが必要で、加重平均価格0.25で270かかります。残りの6,000kmは16km/Lで375Lが必要で、1.70で637.50かかります。合計は907.50です。計算ツールで電動走行比率をいろいろ変えて、ご自身の走り方でPHEVがどの程度合理的かを確かめてください。
同じ走行距離・同じ期間で比較する
車両を比較するときは、年間走行距離と保有期間を同じにしてください。EVに年20,000km、ガソリン車に年10,000kmと入力しては、比較の意味がありません。期間も同じです。1台を3年、もう1台を7年で見ると、残価や整備のパターンがゆがみます。
また、エネルギーは総コストの一部にすぎません。購入価格、保険料、税金、タイヤの摩耗、整備項目(EVにはエンジンオイルはありませんが、ほかの消耗品はあります)、残価もすべて関係します。エネルギーが安くても、高い購入価格を何年で回収できるかは走行距離次第なので、計算ツールで2台を同じ条件で並べて確認してください。
エネルギーコスト比較のチェックリスト
数字を読み違えないよう、比較する前に次の点を確認してください。
- 各車両に正しい効率の単位を選びましたか?
- mpgの場合、米ガロンか英ガロンかを確認しましたか?
- EVの電費はバッテリー基準か系統基準か、充電ロスを一度だけ計上していますか?
- 自宅充電、公共の普通充電、急速充電の比率と価格を入力しましたか?
- 充電の会員料金などの固定費を含めましたか?
- PHEVの場合、電動走行比率は普段の使い方から見て現実的ですか?
- 比較するすべての車両で年間走行距離と保有期間は同じですか?
このガイドは一般的な計算方法の説明であり、税務・金融・法律上の助言ではありません。実際の税金、価格、整備の時期は国や車両によって異なるため、公式の情報源と取扱説明書を確認してください。